1. サードライフについて考える
1-1. サードライフってなんだろう
セカンドライフ、第二の人生という言葉は
以前からよく耳にします。
男女ともに長寿となった今、更にその先の
サードライフという考え方が登場しています。
定年からの生活を指す「セカンドライフ」に対して
サードライフは、自立した生活が
困難になってからの生活を指しています。
誰しも、出来ればセカンドライフのまま
健康に楽しく生涯を過ごしたいと願うはずです。
1-2.
サードライフは幾つから?
何歳からサードライフという位置付けはありません。
90歳を過ぎてもセカンドライフどころか
第一線で活躍されている方もいらっしゃる
シニア活躍時代を迎えています。
しかし、加齢とともに肉体も記憶も
衰えて来ることは避けることができません。
老後準備を行うに当たりセカンドライフだけでなく
更に先のサードライフも見据えおくことも大切です。
そうは言っても、健康でない状態のことを
早い段階から想像することも備えることも
なかなか容易なことではありません。
1-3. 事前に考えることができるサードライフ
では事前に考えられるサードライフとは
具体的にどのような事柄があるのでしょうか。
真っ先に思い浮かぶのは
高齢者住宅、介護施設、病院など
自身が老後に身を置く場所のことです。
自立生活がままならなくなった際に
・そのために必要な費用はいくらくらいなのか
これらをおおまかに把握しておくと、
必要な老後資金を考える際の材料となります。
一昔前なら、自立生活がままならなくなれば
後はおまかせ、が一般的だったのではないかと思います。
しかし、自身で早目に考えておくことにより
家族に希望や要望を伝えておくことができます。
叶うかどうかは別問題としても・・・
意思が伝えられない状態になったとき
そういえば…と家族に気付いてもらえる可能性も高く
絶対これだけは嫌!と思っていることから
逃れることができるかもしれません。
自宅での介護を希望するならば
若いうちにリフォームする際に、バリアフリー化するなど
早目に手を打つことも可能です。
1-4.
サードライフを過ごす住まい
昨今の高齢化に伴い、住まいの選択肢は増加しています。
介護保険施設や、老人福祉施設のみならず
サービス付高齢者住宅、有料老人ホーム、
介護保険施設、シニア向けマンションなど
言葉だけ聞いたのでは区別が全くわからないものもあります。
判断力が低下し、決断がおっくうになってから
これらを一から学ぶのは大変だと思うため
早めに基礎知識を持っておくことは有益だと考えられます。
また、住まいの種類のみならず場所探しも重要です。
離れて住む家族が会いに来れることを優先するのか
海が見える場所等本人の願望を重視するのか
漠然とでも優先順位を考えておくことも
施設選びの助けになります。
必要になってから、慌てるより余裕がある時の方が、
精神的にも金銭的にも安心していられます。
2. 高齢者施設の種類と特徴
サードライフを迎えるにあたり
どのような施設があるのかその種類と特徴をまとめます。
2-1. 高齢者施設の種類
主に介護状態の方を対象とした施設
・介護付有料老人ホーム(民間型)
・住宅型有料老人ホーム(民間型)
・グループホーム(民間型)
・特別養護老人ホーム(公共型)
・介護老人保健施設(公共型)
・介護療養型医療施設(公共型)
主に自立状態の方を対象とした施設
・サービス付高齢者住宅(民間型)
・健康型有料老人ホーム(民間型)
・高齢者専用賃貸住宅(民間型)
・高齢者向け優良賃貸住宅(民間型)
・シニア向け分譲マンション(民間型)
・軽費老人ホーム(公共型)
・ケアハウス(公共型)
2-2. 高齢者施設の特徴
2-2-1. 介護付有料老人ホーム
介護付有料老人ホームは、介護が必要な場合に
サービスが受けられる施設です。
入居資格は、要介護1~5の認定を受けた人だけが
入居することのできる「介護専用型」と、
自立・要支援・要介護の人が入居できる「混合型」があります。
食事、清掃、洗濯などの生活支援サービスや
入浴、排泄解除などの介護サービスに加え、
リハビリ、レクリエーション、イベント等が提供されます。
入居時に必要な入居金と、月額利用料が必要です。
介護サービス費は介護度により「定額制」となり、
収入に応じて1割~3割の自己負担となります。
2-2-2. 住宅型有料老人ホーム
住宅が他有料老人ホームは、自立・要支援・要介護の人が
入居することが出来る施設です。
食事、清掃、洗濯などの生活支援サービスや
入浴、排泄解除などの介護サービスに加え、
リハビリ、レクリエーション、イベント等が提供されます。
医療機関と連携して、緊急時の対応を行ってもらうことも可能です。
基準を満たしていても、自治体システムで認定が下りない施設が
住宅型有料老人ホームとして運営している場合もあり
介護付有料老人ホームと非常に似ています。
2-2-3. グループホーム
グループホームは、施設のある自治体に住民票があり、
要介護2以上かつ65歳以上の認知省高齢者が入居できる施設です。
数名の少人数で家事を分担して共同生活を行います。
自立支援と、精神的安定を図ることにより、
症状の進行を遅らせることを目指します。
入居後、介護度が重くなったり、医療ケアが必要になった場合は
退去しなければならない場合もあります。
2-2-4. 特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム(特養)は入居基準が
要介護度3以上の公的な介護保険施設です。
食事・入浴・排せつ介助などの身体介護、日常的な生活支援、
リハビリ、レクリエーションなどのサービスを受けることができます。
重度の認知症の方の受け入れも行っています。
看護師は、日中はいますが夜間配置の義務はないため、
医療ケアを常時必要とする方の対応が難しく、入居不可となる場合も。
部屋のタイプにより月額費用が異なります。
ユニット型個室の「新型」と従来型個室の「旧型」があり、
月額費用は「新型」15万円程度、「旧型」10万円程度で、初期費用は不要です。
入居の順番は、介護度以外に家族状況なども考慮して
必要度が点数化され、緊急度の高い人が優先されます。
待機者は非常に多く、地域によっては入居まで数年かかることもあるそうです。
2-2-5. 介護老人保健施設
介護老人保健施設(老健)は、退院後すぐに在宅生活を送ることが
困難な要介護1以上の人を対象に、在宅復帰を目指す介護保険施設です。
入居期間は原則3~6ヶ月で例外もあるようです。
食事・入浴・排せつなどの身体介護、医師・看護師による医療的管理、
リハビリテーションなどが提供されます。
費用は4人部屋で9~12万円前後、初期費用はかかりません。
2-2-6. 介護療養型医療施設
介護療養型医療施設は、医学的管理が必要な
要介護1以上の方を対象にした介護保険施設です。
食事・入浴・排せつなどの身体介護、医師・看護師による医療的管理、
リハビリテーションなどが提供されます。
医師が配置される医療機関で、たん吸引などの医療ケアが可能です。
費用は4人部屋で9~17万円前後で、初期費用はかかりません。
2-2-7. サービス付高齢者社住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、60歳以上の人が入居できます。
有資格者の相談員が常駐し、安否確認と
生活相談サービスが受けられる住まいです。
賃貸借契約で、初期費用は比較的安価な数十万円から、
高価な施設になると数千万円のところもあります。
月額費用も比較的安価な施設では5万円くらいですが、
高価な施設では20万円以上になる場合もあります。
立地条件や建物、提供サービスによって差があります。
独居や夫婦2人暮らしが不安な自立、軽介護度の方に適しており、
介護が必要な場合は在宅サービスを利用しすることになります。
「特定施設入居者生活介護」の指定を受けているところは、
介護が必要になれば介護サービスや生活支援サポートを受けることができます。
介護付き有料老人ホームと同様のサービスが提供されていますので、
重介護度の方の対応も相談可能です。
2-2-8. 健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホームは、自立状態の高齢者を対象とした、
食事サービスが付いた高齢者施設です。
温泉やスポーツジムど健康維持を目的とした設備が充実しています。
介護が必要になった場合は退去しなければなりませんが、
介護を受けられる施設が隣接しているところもあります。
初期費用は数千万円と高く、月額費用も数十万円する施設もあります。
2-2-9. 高齢者専用賃貸住宅
高齢者専用賃貸住宅は、高齢者を賃借人とした施設です。
現在は「高齢者住まい法」改正により、
サービス付き高齢者向け住宅への登録切り替えが行われています。
サービスが無い施設、家事支援サービスが提供される施設もあります。
初期費用は数十万円程度、月額利用料は家賃と管理費で
5~15万円程度で、立地条件や設備などによる開きがあります。
2-2-10. 高齢者向け優良賃貸住宅
高齢者向け優良賃貸住宅とは、民間事業者や公団などによって
設置・運営され、都道府県単位で認定された賃貸住宅です。
60歳以上の方が入居対象で、緊急時対応サービスや
安否確認サービスなどが受けられます。
初期費用は数十万円程度、月額利用料は家賃と管理費で5~10万円程度で、
世帯収入が一定基準以下の場合は国や自治体などから家賃補助が受けられます。
現在サービス付き高齢者向け住宅への登録切り替えが行われています。
2-2-11. シニア向け分譲マンション
シニア向け分譲マンションは、高齢者を対象にした分譲マンションです。
所有権を有し、通常の分譲マンションのように、
売却、譲渡、賃貸、相続などが可能な資産となります。
家事援助サービス、トレーニングジム、
プールなど、付帯サービスや共用設備はさまざまです。
介護が必要になった場合は在宅サービスを利用します。
自己所有物件なので退去を迫られることはありませんが、
在宅介護と同様、重介護になった場合は
有料老人ホーム等への転居が必要になる場合があります。
2-2-12. 軽費老人ホーム
軽費老人ホームは、自立した生活に不安があり身寄りのない人が、
自治体の助成により低価格で入居できる施設です。
食事を提供する「A型」、食事を提供しない「B型」、
「ケアハウス」の3種類があります。
入居には60歳以上(夫婦はどちらか一方)で、
「A型」「B型」は自分で身の回りの世話ができ、
月収34万円以下などの要件があります。
要介護になった場合は在宅サービスを利用しますが、
特定施設入居者生活介護の指定を受けているケアハウスの場合は、
ケアハウスのスタッフから介護サービスを受けることができます。
2-2-13. ケアハウス
60歳以上(夫婦はどちらか一方)で、自宅での自立した生活に不安があり、
身寄りがないなど、家族の援助を受けられない人を対象にした施設です。
軽費老人ホームA・B型とは事なり所得制限がありません。
代わりに入居金や家賃が必要ですが、自治体からの助成を受けて
運営しているので比較的低料金で入居することができます。
「一般型」のケアハウスは食事サービス、
安否確認・生活相談サービスが提供されます。
介護が必要になった場合は、外部事業者の在宅サービスと契約し
介護サービスを受けます。
「介護型」は介護1以上の方が対象となり、
その施設のスタッフから介護サービスを受けることができます。
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